今回の記事では、大学化学で登場する「多分散度PDI」について解説します。高分子の分野で主に使う重要な指標ですのでここでしっかり使いこなせるようになりましょう。
この記事を読んで、以下のことを理解できればOKです↓↓
・平均分子量には、重量平均分子量と数平均分子量が存在する
・あるポリマーの多分散度を求めることができる
その他にも、単分散や多分散度PDIの標準値なども説明していきます。それでは、さっそくやっていきましょう。
高分子は評価が難しい(飛ばしてもOK!)
※ここではなぜ、高分子は多分散度や平均分子量を考えなくてはいけないのかの説明をします。いわば前提条件の説明です。なので、すぐ内容を知りたい人は飛ばして読んで大丈夫です。
高分子の分子量は、他の単純な物質(炭素や水など)と違い、分子量が一定に決まらず、様々な分子量の分子が混ざった混合物として考えます。
↑上のように考えたため、単純な分子量のみで評価することができません。そのため、以下の2つの指標を用いて評価します。
分子量が定まっていないので、平均をとっておおよその位置を把握して、どのぐらい散らばって、広がってしまっているかを求めれれば、高分子を適切に評価できるということです。
数平均分子量と重量平均分子量
まずは結論。数平均分子量と量平均分子量の求め方はこれです↓
前提条件として、分子量M₁の分子が、N₁個存在するとしています。
上記の式によって数平均分子量と重量平均分子量を求めることができます。「n」は「number(数)」で、「w」は「weight(重量)」に由来しているので、わかりやすいですね。重量平均分子量の2乗を忘れる方が多いので、注意しましょう。
数平均分子量と重量平均分子量の2つを知ることで、多分散度を求めることができるので、必ず両者とも式を押さえておきましょう!
多分散度(PDI、分子量分布)
まずは結論。多分散度(PDI)の式を確認しましょう↓
上記のように、多分散度(PDI)は重量平均分子量を数平均分子量で割ることで求めることができます。多分散度の特徴として、必ず「1以上」の値となりますので、計算していく過程で1を下回った場合、どこかで計算ミスをしているので、解きなおしが必要です。
また、多分散度は分子量の広がりを表し、多分散度が大きいということは、分子量の分布が広いことを指します。おおよそ多分散度の値が「2」が標準ですので、大きすぎる場合はミスかもしれません。
合成高分子は,分子量に分布のある,多分散の状態ですが、分布のない(全て同じ)ときの状態を単分散と言います。
問題演習(多分散度PDIを求めてみよう)
PDIには、数平均分子量と重量平均分子量を求めることが必要です。
以上の3ステップでPDIを求めることができるとわかります。では、ステップに従って、問題を解きましょう。
①数平均分子量Mn=ΣMN/ΣNなので、10000×3個/3個=10000
②重量平均分子量Mw=ΣM²N/ΣMNなので、(10000)²×3個/(10000×3個)=10000
➂多分散度PDI=Mw/MN=10000/10000=1
PDI=1なので、単分散であることがわかりますね。
全く同じで、数平均分子量と重量平均分子量を求めてからPDIを出しましょう
重量平均分子量の計算がかなり大変なのがわかりますね。
以上です。多分散度PDIの解法ステップは先ほどのでほとんど網羅されているので
問題演習をして慣れていきましょう!!
コメント