今回の記事では、高校化学の高分子分野に登場する「天然ゴムと合成ゴム」について解説していきます。暗記が中心なので、覚悟してください。
この記事を読んで、以下のことを理解できればOKです↓↓
・天然ゴムと加硫の性質
・トランス型のグッタペルカ
・各合成ゴムの重合の違い
では、さっそく天然ゴムからやっていきましょう。
天然ゴムについて
まずは結論。天然ゴムで覚えるべきはこれらのことです↓↓
1つずつ少し深めて見てきましょう。
天然ゴムの主成分はポリイソプレンです。
化学式では、(C₅H₈)nで表します。
「ポリ」イソプレンは、イソプレンがたくさんあるという意味なので
天然ゴムを乾留(分解操作)すると、単純なイソプレンが出現します。
これは言わなくても大丈夫ですね。ゴムには弾性があります。
ついでに、空気中の酸素やオゾンと結合すると、ゴムの弾性が失われることを覚えておきましょう。
①で主成分はポリイソプレンだと説明しました。
ここでは、隣り合うイソプレン同士はどうやって結合しているのかに着目しています。
右上の画像のように、基本的に隣り合うイソプレンはシス型で結合していくことがわかっています。
しかし、左上のように、例外でトランス型で結合するゴム「グッタペルカ」も存在しています。例外ということは、試験に出しやすいので、しっかり覚えておきましょう。
天然ゴムができるまで
天然ゴムがどのようにしてできるかを押さえましょう。
step1:ゴムノキから、ラテックス(乳白色)をとってくる
step2:ラテックスとギ酸または酢酸を反応させ、凝固・乾燥させる
step3:天然ゴム完成!
以上の3ステップだけでなんと天然ゴムはつくれてしまうのです。
加硫について
加硫とは、「生ゴムに数%の硫黄を混ぜ、加熱すること」を言います。加硫をすることで、生ゴム内に新しい結合を作りだします。
この時できる新しい構造を、架橋構造(橋かけ構造)と言います。
加硫によって生じることは以下の4つです↓↓
そのままのゴムに加硫をすることで、+αの性質を持つことができるのです。特に「③軟化点が上がり、化学的安定性が増す」を覚えておきましょう。
加硫して出来た具体的な物質について見ていきましょう。
エボナイトは、加硫してできる代表的な物質です。
用途としては、万年筆の軸や、楽器の部品などに使われていますが、現在では、使用する場面はかなり減少しています(代替物質の出現のため)
天然ゴムは以上となります。続いて、合成ゴムにいきましょう。
合成ゴムについて
「合成」ゴムなので、重合によってできています。そのため、合成ゴムで覚えなくてはいけないのは、どんな重合の仕方で、単量体(元々の物質)はなにかということです。その点に注意して、先に進みましょう。
付加重合する合成ゴムで覚えるべきは以下の3つです↓
①ブタジエンゴム⇒単量体:ブタジエン
②クロロプレンゴム⇒単量体:クロロプレン
③イソプレンゴム⇒単量体:イソプレン
付加重合は、同じ物質がどんどん付加していくだけなので、合成ゴムと単量体の名称にそこまで違いがないので、覚えるのは簡単です。
共重合で覚えるべき合成ゴムは以下の、4つです↓
①スチレン-ブタジエンゴム⇒単量体:スチレン、ブタジエン
②ブチルゴム⇒単量体:イソブテン、イソプレン
③アクリルゴム⇒単量体:アクリル酸エステル、アクリロニトリル
④フッ素ゴム⇒単量体:フッ化ビニデリン、ヘキサフルオロプロペン
共重合は、2つ以上の物質が単量体となり、重合されます。かなり、量が多いですが、何回も見直して、おぼえましょう。
縮合重合で覚えるのは1つだけです↓
①シリコーンゴム⇒単量体:ジクロロジメチルシラン
縮合重合は、分子内の水分子などの小分子が脱離して、重合されます。
以上です。本当は、全ての構造式を覚えていることがベストですが、最低限、重合名と名称だけは覚えておきましょう。
誤りがあればコメント指摘していただけると幸いです。修正します。
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