今回の記事では、4大工業的製法の1つ「オストワルト法」について解説します。無機化学の分野において4大工業的製法の理解は必須であり。出題率も高いです。ここでマスターしましょう。
この記事を読んで以下のことを理解できればOKです↓↓
- オストワルト法の反応式3ステップ+1が全て書ける
- アンモニアNH₃が1molあれば、硝酸HNO₃が1molできる
- 物質の色(NO:無色,NO₂:赤褐色)
現段階では、理解できなくて大丈夫です。さっそく解説します!
オストワルト法の反応式3ステップ+1
まずは結論。必ず覚える反応式3ステップ+1はこれです↓↓
4大工業製法の中ではかなり反応式が覚えにくいです。②、③は単純ですが、①が忘れやすいです。ちなみにですが、現役時代に私が覚えた方法としましては、「4・5・4・6(係数)」と何回も言って、書いて覚えました笑。注意点としてはこのやり方を多用するとごちゃごちゃになることです。
4大工業製法全てに共通することですが、反応式を書けることは最低条件です。
触媒として使われるPtについて大事なことはこれ↓↓
オストワルト法において触媒を使う場所は第1ステップの4NH₃+5O₂→4NO+6H₂O(触媒:Pt ×高温状態)
上のオストワルト法の反応式3ステップを見てみてください↓↓
①4NH₃+5O₂→4NO+6H₂O(触媒:Pt ×高温状態)
②2NO+O₂→2NO₂
③3NO₂+H₂O→2HNO₃+NO
ここでわかるように、触媒については①のステップでしか書かれていません。つまり、オストワルト法で使う触媒はPt・白金であることは決して間違えではないが、オストワルト法の全ての過程で触媒Pt・白金を使うは間違いということです。
受験生全員が、「オストワルト法の反応3ステップ+1」と「触媒はPt・白金」って知っています。
そこに虚をつくように、このような問題が出題されることが稀にあります↓↓
オストワルト法の触媒がPt・白金であることしか知らない人は、どのステップのみで触媒を使用するかわかりません。迷いが生じてしまいます。そうならないためにも、触媒を使用する場所は第1ステップと覚えておきましょう!覚えているだけで得する日がきっと来ます。
【超重要】アンモニアNH₃が1molあれば、硝酸HNO₃が1molできる
オストワルト法の中で一番重要な性質がこれです↓↓
まずはなぜこのような性質を持っているかを①~③のステップを1つにまとめた④から確認しましょう。
オストワルト法の④の反応式の係数に着目してください。
④ 1NH₃+2O₂→1HNO₃+H₂O
(NH₃が1molで、HNO₃が1molできる)
全てのステップをまとめた式において、最初の材料NH₃が1molあれば、最終完成品HNO₃は1molできます。ごくごく当たり前の比の考え方ですよね。せっかくなのでこの性質を活用しましょう
最初のアンモニアNH₃のmolさえ求めれば、求めたい最後のHNO₃のmolを計算できる
⇒①~③のステップのモル計算は省略できる。
全てのステップをまとめた式だけで答えが出る=各ステップの計算を大幅にショートカットできるということですので、わざわざ自分で進んで計算量を増やす必要はありません。増やした分、計算ミスします。必ずします。オストワルト法に限らず、理系に進んだが、計算ミス多めの我々は、化学になるべく計算を持ち込まないで解決する策を考えましょう。
※酸素O₂は係数が2であるから注意すること。
④の反応式でアンモニアを確かに材料だけど、酸素も材料であることに間違えはない。たまに酸素が何molあって、硝酸は何molできるかという問題も出題される。その時は、酸素2molで硝酸1molができる
物質の色(NO:無色,NO₂:赤褐色)
結論はタイトルにある通りですが…↓↓
なので、オストワルト法の反応式3ステップの完全版はこうです↓
①4NH₃+5O₂→4NO(無色)+6H₂O(触媒:Pt ×高温状態)
②2NO(無色)+O₂→2NO₂(赤褐色)
③3NO₂(赤褐色)+H₂O→2HNO₃+NO(無色)
④ NH₃+2O₂→HNO₃+H₂O
実験中の色の変化としては、NO無色→NO₂赤褐色→NO無色となります。
また、補足として、工業的製法では積極的に再利用する。(効率的だから。)なので③で出てきたNOを②に再利用します。
他の4大工業的製法はこちらから確認してください↓↓
・接触法(硫黄、濃硫酸、酸化バナジウム)重要な性質を簡単に解説!!
・アンモニアソーダ法の目的(炭酸ナトリウム)・順番・覚え方とは?
・【高校化学】ハーバーボッシュ法(鉄系触媒×高温×高圧)を解説!
以上です。あなたの化学が少しでも楽しくなると願って…
誤りがあれば、コメント指摘していただけると幸いです。修正します。
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