今回の記事では、大学の無機化学分野で学ぶ「トランス効果」について問題を解きながら解説していきます。
この記事を読んで、以下の問題を解くことができればOKです↓↓
難しそうですが、トンラス効果さえ覚えてしまえば余裕です!!
では、さっそくやっていきましょう。
トランス効果とは
「トランス」といえば、「cis-」と「trans-」の関係のことです。
超簡単に復習しましょう。
配置の関係性でcisおよびtransという名前がありました。
つまり、トランス位効果とは、ある1つの配位子に着目したときに反対側にある配位子を置換させやすくする効果のことを指します。
上記の画像ではC=C結合に対する結合の配置の関係から「cis-」と「trans-」を決めていましたが、
錯体においては、「C=C部分」が「中心金属M」とみなして「cis-」と「trans-」を決めます。
C=C結合周りでは、結合に関わる物質は4つで、平面でした。(H×2+CH₃×2=4)
これを錯体に当てはめると、4配位錯体(平面四角形型)が適切であるとわかります。
なので、トランス効果は…
平面四角形型のPt(Ⅱ)の置換反応に多く見られます
トランス効果の際にはPt(Ⅱ)平面四角形型構造を簡略した以下のように書いて大丈夫です。
トランス効果の強い配位子の順序
結論。トランス効果の強い配位子の順序はこのようになります。
とりあえず全部覚えるのはかなり難しいので、最低限青太字の序列だけでも覚えてください
めちゃくちゃ間違えやすいので注意してください↓↓
正:この序列の上の配位子のトランス位が置換しやすい
誤:この序列の上の配位子が置換しやすい
では、この序列を踏まえた上で、問題を解いていきましょう。
トランス効果の問題演習
<解法>
①最初の状態からどこでも良いのでNO₂⁻を加えましょう。
最初全ての配位子が「Cl⁻」なので、トランス効果は全て同じ強さです。なので、NO₂⁻はどこに配位しても大丈夫です。
②NH₃をトランス効果の強弱に従って加える(NO₂⁻>Cl⁻)
⇒NO₂⁻のトランス位の配位子をNH₃に置換させます。
最初の問題を解いてみよう
●[Pt(NH₃)₄]²⁺スタートでどんどんCl⁻を追加していくコース
①最初の状態からどこでも良いのでCl⁻を加えましょう。
②Cl⁻をトランス効果の強弱に従って加える(Cl⁻>NH₃)
⇒Cl⁻のトランス位の配位子をCl⁻に置換させます。
trans体になったため、これは原料にしないほうがいいですね。
●[PtCl₄]²⁻スタートでどんどんNH₃を追加していくコース
①最初の状態からどこでも良いのでNH₃を加えましょう。
②NH₃をトランス効果の強弱に従って加える(Cl⁻>NH₃)
⇒Cl⁻のトランス位の配位子をNH₃に置換させます。
cis体を作ることができました。
よって、[PtCl₄]²⁻を原料とするほうが良いことがわかりました。
以上です。誤りがあればコメント指摘していただけると幸いです。修正します。
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