今回の記事では、4大工業的製法の1つ「アンモニアソーダ法」について解説します。無機化学の分野において4大工業的製法の理解は必須であり、出題率も高いです。ここでマスターしましょう!
この記事を読んで以下のことを理解できればOKです↓↓
- アンモニアソーダ法の反応式5ステップ+1が書ける
- アンモニアソーダ法の反応式はメインとサブに分かれる
- 塩化ナトリウムNaClが2molあったら、炭酸ナトリウムNa₂CO₃が1molできる。
現段階では、理解できなくて大丈夫です。さっそく解説していきます.
アンモニアソーダ法の反応式5ステップ+1
まずは結論。アンモニアソーダ法の反応式5ステップ+1はこれです↓↓
「①,②」と「③,④,⑤」で物質の一貫性がない(いきなりCaCO₃が出現する)ので、4大工業製法の中では覚えにくい方ではありますが、あるポイントを押さえれば、理解が格段に上がります(後述)。
4大工業製法全てに共通することですが、反応式を書けることは最低条件です。
※アンモニアソーダ法は、ソルベー法とも言われます。ソルベーは、アンモニアソーダ法を確立した人です。
【超重要】反応式はメインとサブに分かれる
まずは結論から↓↓
上のアンモニアソーダ法5ステップを見てください↓↓
①NaCl+NH3+CO2+H2O→NaHCO3+NH4Cl
②2NaHCO3→Na2CO3+H2O+CO2
③CaCO3→CaO+CO2
④CaO+H₂O→Ca(OH)₂
⑤Ca(OH)₂+2NH₄Cl→CaCl₂+2H₂O+2NH₃
ここから分かるように目的の炭酸ナトリウムNa₂CO₃は①,②ステップで作ることができています。つまり、アンモニアソーダ法のメインとなる反応は①,②で既に完結しているのです。大事なのでもう1回言いますと、あくまで目的は炭酸ナトリウムを作ることです。
③以降の反応式たちは、炭酸ナトリウムを自然由来のもので、作るための材料集めに過ぎません。メインと材料の反応を、分離して考えれば、複雑な反応式だったのが、そこまででないことがわかります。
また必要な材料の覚え方としては、自然に大量にあり、炭酸ナトリウムの化学式に含まれているもの、そしてアンモニアソーダ法という名前から考えればよいのです↓↓
ということは、海水(水と塩化ナトリウム)は海にいけば速攻でとってこれるので、後半の③~⑤は、二酸化炭素とアンモニアを採集する作業に過ぎないこと
①,②がメインの反応、③以降は材料集め
必ず別々で覚えるようにしましょう。
補足で全てまとめた➅の反応式が直接起こることがないのも上記のことで説明できますね。あくまでメインの反応と材料集めは別々で行いますから。
塩化ナトリウムNaClが2molあれば、炭酸ナトリウムが1molできる
材料(塩化ナトリウムNaCl)が2molあれば、完成品(炭酸ナトリウムNa₂CO₃)が1molできる⇒大幅にモル計算を省略することができる。
まずはなぜこのような性質を持っているかを①~⑤を全てまとめた反応式➅から確認しましょう。
アンモニアソーダ法の➅の反応式の係数に着目してください。
⑥ 2NaCl+CaCO₃→1Na₂CO₃+CaCl₂ (※直接は起こらない)
(NaClが2molで、Na₂CO₃が1molできる)
全てのステップをまとめた式において、最初の材料NaClが2molあれば、最終完成品Na₂CO₃は1molできます。ごくごく当たり前の比の考え方ですよね。せっかくなのでこの性質を活用しましょう。
最初の塩化ナトリウムNaClのmolさえ求めれば、求めたい最後の炭酸ナトリウムNa₂CO₃のmolは計算できる⇒①~⑤のステップのモル計算は省略できる。
全てのステップをまとめた式だけで答えが出る=各ステップの計算を大幅にショートカットできるということですので、わざわざ自分で進んで計算量を増やす必要ありません。まとめ式またはそれぞれの式の係数の比に着目するだけで圧倒的に計算量を減らすことができるmolは高校化学で偉大な存在なのです。
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以上です。あなたの高校化学が少しでも楽しいものなると願って…
誤りがあれば、コメント指摘していただけると幸いです。修正します。
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